第35回フォトポリマー講習会 報告

2日間にわたって基礎編、応用編の10件の講義が行われた。各日の最終プログラムとして講師ごとのブレイクアウトルームが設けられ、総括討議が実施された。構成はフォトポリマーを網羅し、ノウハウに関わる話題もあって、フォトポリマー技術の全貌が理解できる内容であった。

第35回フォトポリマー講習会
日 時2025年8月28日(木)・29日(金)
場 所Zoomでのオンライン開催
Ⅰ.基礎編1.「光化学の基礎と分子デザイン」成蹊大学稲垣 昭子 氏
フォトポリマーの反応対象となる「光」との反応、すなわち有機物の光化学反応について概説された。光吸収や励起をはじめとする分子と光の相互作用、励起状態からのエネルギーや電子移動,増感反応など基礎的な現象や概念をわかりやすく解説された。また、有機分子以外にも金属錯体の光化学反応、特にフォトレドックス反応を中心に、これらを用いた酸化的還元的消光サイクルによる触媒的有機合成反応例についても説明された。
2.「光反応中間体と観測」神奈川大学河合 明雄 氏
フォトポリマー生成における光開始剤の分解反応やその付加反応中間体の挙動について、高速ESR分光法である時間分解ESRやパルスESRを用いた観測データを基に解説された。特に、近年開拓された光重合過程におけるラジカル付加反応素過程に対する速度定数決定法を中心に、反応機構に関して説明された。
3.「ポリマーの光化学と特性」大阪公立大学岡村 晴之 氏
高分子の基礎から高分子中の光物理化学を低分子と比較し、溶液中と高分子固体中の光反応の差異についてわかりやすく説明された。また、ポリアクリレートとポリメタクリレートなどの光反応の例を比較し、それらの反応メカニズムの違いについて解説された。
4.「リソグラフィの基礎とフォトレジストの材料設計」Eリソリサーチ遠藤 政孝 氏
リソグラフィの基礎を、露光、マスク、レジストプロセスのそれぞれの個別技術に分けて解説された。ロードマップでのリソグラフィの動向に対応させて、フォトレジストの材料設計についてまとめられた。化学増幅型レジストについては、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、ArF液浸、EUVのそれぞれの詳細を述べられた。EUVレジストについては、非化学増幅型のメタルレジストについても解説された。
5.「フォトポリマーの特性評価」リソテックジャパン(株)関口 淳 氏
リソグラフィーの工程や化学増幅型レジストの課題と、脱保護反応の評価、現像中のレジストの膨潤の評価、光酸発生剤からの酸発生挙動および光酸発生剤からの酸の拡散挙動の評価方法に関して詳しく解説された。評価のために改良した分析装置、最新の評価手法などの研究結果も合わせて紹介された。
Ⅱ.応用編6.「レジストの分析」(株)東レリサーチセンター小北 哲也 氏
半導体レジストは複雑な化学構造を持ち、プロセス中にその特性や構造が変化するため、理解には様々な分析手法が必要である。本講演では、露光やPEBなどのプロセス中の化学構造や膜中の自由体積の変化の評価に有効な分析技術と、微量元素の分析について、最新の技術を含めて紹介された。
7.「光酸発生剤の基礎と先端材料への応用」富士フイルム(株)土村 智孝 氏
光酸発生剤(PAG)の種類、分解機構と機能設計について説明された。また、CTPイメージング、EUVリソグラフィーなど新しいアプリケーションに対応したPAGについて解説された。
8.「感光性耐熱材料の開発と事業化」三井化学(株)表 利彦 氏
それまでには無かった光反応メカニズムを用いた新規感光性ポリイミドの開発と、それを用いた新事業開発に関する内容を紹介された。単なる材料の基礎研究に留まらず、社会実装された実用材料の開発、その材料を用いた部材開発、そして最終的には、当時世界初のハードディスク部品の開発に至るまでの事例を紹介された。
9.「微細加工用レジスト」兵庫県立大学渡邊 健夫 氏
半導体とは何かにはじまり,動作原理やデバイス構造・性能を平易に解説し、半導体の市場や微細加工技術の必要性について解説された。長年の開発と実用化に至ったEUVリソグラフィプロセスについても併せて解説された。最先端半導体加工技術となったEUVリソグラフィーの課題と今後の展望について各プロセス要因から俯瞰し,さらに技術的課題解決に向け、EUVリソグラフィー技術開発の現状、課題、そして、レジスト評価技術の展開についても説明された。さらに将来のEUVの短波長化:BEUVの可能性や日本の半導体復興に向けた取り組みについてその課題と提案を述べられた。
10. 「トピックス 積層型CMOSイメージセンサ」ソニーセミコンダクタソリューションズ(株)梅林 拓 氏
最近のデジタルカメラで主流となった「積層型CMOSイメージセンサ」という撮像デバイス構造について説明された。何故「積層型」が主流になったのか、イメージセンサの進化の過程から、従来構造の課題点を紐解き、その進化の経緯と、優位性、効果や実用化された機能等を紹介された。